エンプティの証明

ツイートするには長く、然し中身のないもの

【注意】

映画・鬼太郎誕生~ゲゲゲの謎~のネタバレしかございません。未視聴の方はお控え頂くか、これを読んだ上で観に行ってください。オタクのネタバレ記事だけを読み観た気になってしまうのは、悪しき行いであり、大変勿体無いからです。

また、該当映画とは関係ない部分も多く含む為、映画の感想を期待してはなりません。

あと水木への当たりが強いです。嫌いな訳では無く、単に主人公の行いに対してあれこれ口を出す程度ですが、推しの悪口に耐えられない人は読まない方がいいです。

さて。

 

 

鬼太郎誕生~ゲゲゲの謎~

を、観ました。

以下当タイトルを「謎」と記します。変な略称が好きでない方に向けて、もう全てを刈り取って謎のみにします。ご容赦ください。

また、本当はもう少し書きたいことがあったのですがこのままだと永遠に公開出来ないので、中途半端ではありますが一旦出します。下書きみたいなものなのでそのうち追記したりしなかったりするかもです。

いざ。

【前置き】

前情報として、私の鬼太郎知識は5期と少しの4期+ 墓場の1話、加えて不可抗力で浴びた微量の二次創作で構築されてます。

どうやらゲゲ郎と言う男は女オタクに様々な影響を与え一部のオタクの口調や髪型が侵食されてしまった事、どうやら水木と言う男はゲゲ郎に大層気に入られている事だけは理解しました。真偽は如何に。

【映画館の事】

謎くんは11月に公開された映画で、まさか1月まで上映しているとは思わずびっくらこいてひっくり返りました。

普通映画と言うのは長くても1ヶ月半、それだけ上映すればヒット作と言われるくらいで、2ヶ月に入ればそれはもう大ヒット御礼の字を堂々と掲げても差し支えないのです。凄いねぇ!

映画を見る余裕が余りなくなかなか足を運べなかったのですが、1月のこの辺りに大きめの納期が重なり、ならば謎くんを楽しみに乗り切ろう!と思った訳ですね。謎くんがヒットしてなければ映画館で観る事も叶わず、生き残れなかったね。ありがとう…

【追記】上映期間が更に延長されるそうです。予期せぬ特典第5弾!やったね!

あとマジで映画館若い子しか居ない。私が行ったのは小さいスクリーンとは言え私を除く客層の全てが誇張抜きで若い女子のみだった 凄い

本当に"その層"に爆受けしてるんだ…

同じ空間を共にする彼女達の口ぶりから察するに、殆どが入村は初めてでは無い様子。多分あの場で初入村は私くらいかもしれない。

なんだか皆友達みたいな気持ちになり(オタクはすぐ仲間意識を持ちます)、実家の様に寛ぎながら鑑賞に挑む。

しばらくポップなアニメ映画の告知が続き和やかな気持ちだったのだが、ふっと全てが暗くなり上映が始まるあの一瞬の間、

その瞬間に、周回組の息を飲む音が聴こえた。

【本編】

・初めに

私は水木に期待をしすぎていた。水木は普通の人間である。

多少メンタル強めの、密かに野心を抱く、根が善良な軍人上がりのビジネスマンである。

水木は作中で妖怪相手に二度嘘をつく。しかもそれは談笑の中での冗談めいたものではなく、ある種の契約の最中で行われる。

妖怪に嘘をついてはならないと知らないのか!?とハラハラしたが、よく考えたら水木は妖怪を日頃から意識していた訳でもなく、架空の存在としか思っていない。妖怪の知識もない。妖怪じゃと言われてああ妖怪かとならず、 「妖怪…!?」と驚くくらい、妖怪から遠い。(※)

序盤にて、ゲゲ郎に牢から出す代わりに目的を明かせと持ち掛ける。これが一度目の嘘になる。

もうこの時点で嫌な予感がしていた。水木はきっとゲゲ郎を牢から出さない。予感は的中し、一人布団を敷き勝手に横になる水木に私は一度目の失望をする。

騙したのかと咎めるゲゲ郎に畏怖をバシバシ感じながら、そらそうじゃと同情した。あのシーンほんまに怖くて(※)血の気が引いて体感温度が3度下がった。凍死するかと思った。

ただ、この時点では水木はゲゲ郎が幽霊族だと知らないので、本人は浮浪者相手に軽口を働いた程度にしか認識出来ていない。仕方ない…かも知れない。

次に、自分の目的の為に紗代に対し守れない約束をする。二度目である。これは一度目よりも許されない。身の上がよく分からない浮浪者を騙すよりも、もっと酷い。

目の前の女の子がこの絶望の底から助けて欲しい、その意思だけでも良い、自分を救う者が居ると言う希望が欲しいと懇願しているのに、水木はその言葉にすら不誠実な対応をする。

あの時の紗代は既に妖怪の様なものなので、やはり契約のやり取りの中で守れない・守る気のない偽りの約束をするべきではない。

苦し紛れな答えをする水木を見て、次は無いぞと思った。次は無いぞと思いながら若干三度目を期待した自分も居るが、水木はそこまで愚かではなかった。良かった。(三度目があれば多分本当に殺されてた)

この時点でも紗代に狂骨が憑いている事を知らないので、仕方ない…と言えば仕方ないのだが、しかし最初にゲゲ郎に囁かなお咎めを貰った事を忘れたのか?乙女の真剣な祈りにそんな不誠実でいいのか?親父殿にそれを窘められたのはちゃんと響いたか?と詰め寄りたくなった。

墓場で、俺には出来ないしそうする力も無いと言い返すのだが、はっきり自覚しているなら尚のこと…質が悪い。これだから大人は…。

ほんとに3度目は無いからね。(以下略)

都合の良い言葉を紡いで都合良さげに乗り切るのは、恐らく彼なりの処世術であり 男の嫌なところを煮詰めて蓋をした感じである

この感じどこかで…と思ったら、ぼぎわんだ…

そんな訳で私の前知識にあった「妖怪に理解があり寄り添える」水木像は呆気なく壊れ、代わりに「標準的で真っ当な人間」の水木像が見えてきた。勝手に期待や理想を押し付けてしまった私が100悪いのだが、所詮これが人間だよと正面から叩きつけられ、分からされた感じがする。

そうだよね これが人間 …

・水木とゲゲ郎のBLについて

別に好きな様にCPを組み好きな様に二次創作をして良いのだが、私が見る限り水木がBLするなら上司か克典社長か諸悪の根源爺さんの方が可能性豊かではないか?愛妻家のゲゲ郎とどうこうするよりも余程有り得そうだが、如何か。

水木なら権力者の靴底を舐められそうだし、靴底を舐められる奴は何でも舐められるからね。

水木の靴舐めシーンが見たかったが、流石に見れなかった。代わりに極太葉巻にケホるシーンがあったので許した。

・というかさ

この作品でBLするなら圧倒的に時貞と時麿ではないか?

時麿は嫁を取ることも許されないままあの歳まで時貞の龍賀流の英才教育(洗脳)を受け、極めつけは「ととさま」呼びである。私は時貞と紗代の視姦まで見通した。支配者のお膝元で洗脳を受ける弱者男性、俺は大好きです。

もしくは長男と次男の組み合わせとか…

周知の事実だが、次男には「時」の字が入っておらず、どう見ても「生まれながらに期待されていない子供」である。もう最高である。

生まれた瞬間から時貞の腕の中で寵愛と教育を受けてきた時麿と、名付けられた瞬間からその運命を免れ父親の手から離された孝三。可哀想。可愛い。えっちだ…

時麿がさりげなく寵愛マウントを取っていたのも趣深い。

龍賀の男達、咀嚼甲斐がある。

・余談

貞麿貞や麿考麿はpixivにはヒットしないが、Twitterには僅かに生息している。

謎くんは短いスパンであるにも関わらずコンテンツがでっかく成長し、そのお陰で早くも同人オンリーが開催されるそう。即売会運営の商魂逞しさには感服するばかりである。(そのスペースの殆どがゲゲ郎と水木のあれこれなのだろうと安易に想像出来るのでそれ以上掘るのはやめた)

・蛇足

映画を見に行く前におじゃる丸をリアタイしたので時麿ちゃまが出てきた時めちゃくちゃデジャブって1人でウケてた

・次男と言えば

次男が描いた岩子さんのスケッチを見てブチ切れていたゲゲ郎、マジで……良かった

もっとキレていいシーンが山ほどある中で、作中で一番キレていたのがあのシーンなの愛妻家が過ぎるだろ…。これはオタク大歓喜ですね

この後その怒りを維持したまま戦闘に入るのだが、戦闘シーンも大変良かった

その前に妖怪との軽いジャブ打ちがあり流石妖怪相手に強いのかと思っていたら、対人間戦でもめちゃくちゃに強かった。かっこいい〜

なんか想像より遥かにフィジカル寄りなのも大変趣深いね!カリカリの男が力技かましてるの大好きだよねオタクはね うんうん…

天井抜いて足場から下ろすのピンポイント性癖過ぎて誰だよこの立ち回り考えたの 私?知らない間に制作噛んでた?

裏鬼道とゲゲ郎の戦闘シーンは、あの尺あの情報量であるにも関わらず、CGを使わずに全てアニメーターの手描きだそうです。すげぇ!!!

・景色

冒頭からやけに見慣れた景色が続き大変デジャヴってました

水木がのこのことやってきた哭倉村、何やら私の育った長野の土地に似た立地をしています。紗代との出会いときめきのシーン、私の海馬に焼き付いたあの風景。おまけに鳥居付きの島まである。間違いない。

長野県は何故か因習村に選ばれやすく、因習村モノが好きな私は度々故郷が因習村にされがち。この件だけで論文が作れそうだ…とか考えていた

・背景

見慣れた景色にワァ…となったが、それ以外にも謎くんは非常に背景(この場合は時代背景やシチュエーションを指す)に凝っている。冒頭で煙が充満したオフィスが出てきた時は興奮した。興奮しっぱなしである。令和の今では考えられない様な煙たいオフィス。セクハラ。パワハラモラハラ。その時代に逞しく食らいついていく水木。かっこいい。

・大奥みたいな

龍賀邸に上がり込み大奥みたいな広間に通されてドセンに案内される水木。

襖を開いた瞬間から水木に浴びせられる、分家の皆様の悪意に満ちた眼差し。招かねざる知らない馬の骨がのこのことドセンに通されるのだからそらそうである。

視線恐怖症を拗らせているので大分キツかった。嫌にじっとりとした視線。顔や身体を一切動かさず、視線だけは水木を捉え続ける。気持ち悪い。おぞましい。観ている者のトラウマを呼び起こすのは、それだけ制作が上手いのだ。

・紗代ちゃんさぁ…

さょちはゎるくなぃょ〜😭😭😭の気持ちでいっぱいである。完全なる被害者。被害者であり、加害者。間桐桜

紗代の絶望は深い。どう足掻いても詰んでいる。水木にどうこう出来るものではない。我々にもどうにも出来ない。

彼女の最もやるせない点はやはり、自由への憧れは途方もない絶望の中の絵空事で、夢物語で、偽物の光で、それは有りもしないと分かっている事。

救いは無いと理解している上で、幾度もなく現実逃避した空想の救済。悲しい。

紗代、俺じゃダメか…?

私にはクソ女レーダーが備わっており、クソ女を早期発見する事で実被害を免れる能力があるのですが、紗代がカットインした瞬間に

「可愛い‼️‼️‼️‼️」

「絶対好き‼️‼️‼️‼️‼️」

「絶対好きだし絶対悪い奴‼️‼️‼️‼️‼️」

もうビンビンでござった。

終始ビンビンでござったが、それでも良いか…と思う程に紗代は健気で愛らしい。

正直いつ裏切るか、いつ掌を返すか、いつ水木を見捨てるかと身構えていたが、

最終的に見捨てたのは水木の方だった。

水木ィ!!!!!!!!!!!!!!

見捨てたと言うのは語弊があるが「紗代にとって最も知られたくなかった真実を知られてしまっていた」と言う絶望に対し、水木は目を背けてしまった。悪手中の悪手。

確かに水木にとっては気まずいし、どうしようもない状況ではあるのだけど、駆け寄ってフォローとか出来ないんか。どんだけ不器用なんだ。不器用じゃないとしたら昭和男児が過ぎる。正真正銘昭和の男なのだが…

水木のポンコツめ。俺が代わりに抱きしめるよ、紗代…

私が生まれて初めて許せた非処女。紗代。

水木に不誠実な事をするなと叱ったが、紗代にも若干非がある。

紗代は「水木でなければ駄目」な訳では無い。水木は運命では無い。紗代が「運命」に仕立て上げたに過ぎない。本来背負わせなくて良いものを、叶わないと分かっている理想を、どうしようもない現実を、その場に居たそれらしい人物におままごとの役割の様に押し付ける。それもまた罪である。

・水木じゃなくてもいい

元も子もないが、これはこの物語の全てに当てはまる。ゲゲ郎も、紗代も、水木じゃ無くて良い。もしかしたら水木じゃない方がもっと良い結末があった可能性すらある。水木じゃなくても、この物語に関与出来たし、完結出来る。

だからこそ良い。非常に怪談めいていて、ジャパニーズホラーに相応しい。

自分を含む不特定多数が参加条件に当てはまる、「自分にも恐怖が降りかかるかも知れない」と言う状況は、ホラー映画(特に邦画)において没入感演出の為に必要な要素だと 私は 思うが如何か。

水木じゃなくても良い は 水木オタクはハァ?となるかも知れないが、ひとつの確立した物語として見た時にめちゃくちゃ評価したい点である

・長田家の事

長田、cv石田彰なので碌でもない奴だと思っていたが、本当に碌でもなかった。なんだそのあからさまに不自然な耳飾りは…

怪しいロン毛糸目(しかも開眼する)は碌でもないと相場が決まっているので、いつ碌でも無くなるのかと思ったら最初から最後まで碌でもない。大変良い。裏鬼道の話もっと見たい。

獣みたいなあのロン毛をもっと堪能したかった。

長女への忠誠心が激強な一方で、妻である庚子との絡みは0なんだよね

あの家業の人達を龍賀家に転がり込ませる為だけに三女に嫁いだのだろうし そらそうか

あんまり夫婦仲は良くなさそう と言うか下手したら最初から旦那が乙米にベッタリだった可能性…いや え 逆?乙米が都合の良い駒を都合の良い未婚の三女に宛がったとかも あるんですよね

ていうか 時弥って 長田の子供じゃないよね?

長田が作中で時ちゃんと1度も絡んでないのもそれなりにキツい所がある

爺ちゃん元気だな と言うのと、三女は幸薄なのと窶れているだけで結構若いのかしら。

くぎゅってああいう感じの演技出来るんだ!凄い良かった。弁えて欲しいですわね!!!

長女とは長年の確執がありそうだし相当鬱憤蓄積なのだが、時弥と言う切り札により長女に強く出れた最初で最後があのシーンやろなぁ と思い、三女のこれまでの人生を想いやるせなくなる。

長田と三女についてはもう少し思想を巡らせていたい

・水木の嘔吐

私は嘔吐フェチなので正直めちゃくちゃ捗った   ちょっと口角上がっていたまである

話の流れ的に「何吐いとんねん!気張りや!男やろ!軍人やろ!」と言いたかったが、あのなんかやたら肝の座っている男が、自分の耐性ジャンル外のショックを受けた時におえ…となるの  好きだよね  許す

水木が吐いた時にその場に居た奴らが誰も動揺して居なかったのもちょっとおもろかった。1人くらいなんかリアクションせえよ(慣れとるんやろなぁ)(さいこ〜)

・時ちゃん(作中の良心)

最も清らかな魂。恐らくあの村で何にも加担していない唯一の存在。

ゲゲ郎さんが優しく会話していたのが本当に可愛い。妖怪は割と子供好きが多いのでゲさんもそれかと思ったら、女房に感化されたと語った時余りにも良すぎてひっくり返ったね。ゲゲ郎、欠点が無くて怖い 妖怪かよ 妖怪だよ

声が小林由美子様なのもね〜最高 あの人のショタに何度狂わされたか…(詳しくは東京マグニチュードを見て)

時ちゃんの育ちの良い坊ちゃん感が本当に良くて、良かった。本当にあの人らの遺伝子入ってる?

まっすぐ育てよ!(尚故人)

爺さんのおもしろジジィぶり、キショながらもおもろくてちょっと好きなんだよな。時ちゃまを返して…という気持ちと、この爺ちゃんおもれーな…という気持ち…

時ちゃま(爺さんin)のショタジジ状態でラストバトルか!?と思っていたが実際は8.5割爺さん1.5割時ちゃま(首から下のみ)だったのでショタジジィですら無かった 流石に萌えれんかた

ていうか爺さんあんな厳格そうな感じだしといてめちゃくちゃひょうきんなの何!?俗っぽさ、堪らん。

令和になっても時ちゃんの夢見た未来にならなくて本当にごめん 本当にごめん…

爺さんが勝手に地獄に突き落としていたのが一番頭ぐにゃあってなった 何も知らない時ちゃんにあの爺さんの途方もない業を背負わせたのか?辛すぎる またしても何も知らない時ちゃん

最後時ちゃんを迎えに来たのが紗代なのはやっぱり激厚信頼がさょちだからかな〜…でもその先って地獄じゃない?救いないなぁ

時ちゃんとの最後のやり取りが「また明日」なのも悲しい。明日は来なかった。

・あの時語られた未来について

作中で様々な人達から様々な未来が語られたけど 結局あの中で唯一真実になったのが「薬により不眠不休で働く企業戦士を造る」事なの、嫌過ぎてわ わろ わろ…

・声優

声優が大御所ばかりで本当に安心した。下手な演技に話を持ってかれたりする事もなく、ベテランによる安心と信頼の技術力で、作品全体にどっしりと構えた厳かな雰囲気がある。

昨今のアニメ映画には若手俳優やら新人アイドルやらが宛てがわれがちだが、そこは矢張り東映。流石です。(それだけこの映画のここまでのヒットを見越していなかった可能性も、無きにしも非ずかも)

・ここまで水木をボコボコにしたが

水木と言う男、めちゃくちゃエロい ウーン

如何にもなテンプレ色男からは心身共に割と離れた造形で、その辺のモブに文字通り傷が付いたレベルである。

然し奴には何か惹き付けるものがある。私は目元と所作が大変好みで、奴の一挙一動に釘付けになった。

取り立てて美しいとは言えないが、やけに凝った動作をする。然るべき動きを、丁寧に、それで居てもたつきを無く描く。 更に魅せる構図で上手く切り抜く。アニメーター側の性癖なのかも知れない。2023年ベスト性癖作画賞。

ゲゲ郎とアイス食べてる所、良かった。いや、村を散策しているシーン全般良かった。郎に石投げたクソガキをこらー!てするとこめっちゃ可愛いしどちらかと言えば水木もクソガキ側っぽくて可愛い かと思えば小川でハンケチ濡らして汗を拭うしね 可愛いね なんだこいつ

社長の味方ですと言ったシーンは最早告白だった(克水あるだろ)社長の極太葉巻を捨てられず懐にしまう水木、好きだよ〜何かに使うのかと思ったが特に回収されなかったので、あれはストーリー上必要のない描写だが「水木のキャラクター像」を描く上で必要な演出なんだと思う

水木がヘビスモなのも良いのだが、職場の環境がとにかく良い。分煙とか喫煙とかの概念無かった昔のオフィスってあんな感じだよね〜!ノスタルジーが凄い。煙たいオフィスを描写する制作、流石です。

最初の大奥みたいなシーン(伝われ)で、一応出されていた座布団に絶対に座らない水木。本当に細かい所まで良く作られている。水木はポンでおばかさんだが、こういう時の立ち振る舞いが本当に素晴らしい。歓迎されていない、招かねざる客としての立場を弁えている。

あと食事シーンで軍人上がりのがっつきが見れてめちゃくちゃ良かった。エロい。ただ飯を掻っ込むのではなく、何かに急かされている様に、追い詰められながら慌てて口に詰め込んで、苦しみながら飲み込む。大変…大変良い。良かった。あれじゃ味なんて分からんだろうに…ここでもゲゲ郎との対比が良かった。

2回目の牢の時ってゲゲ郎に食べ物分け与えてたよね、多分 あそこで歩み寄りと言うか、対等(対等ではないが…)になりつつある描写が伺える

結局、タレ目つり眉が嫌いなオタクなんて居ないんだよな。

 

水木の水木さぁ…ポイントに、PTSDがある。水木は作中で度々軍人の頃の記憶が蘇る。戦場でろくでもない目に遭ったこと、上司はクソだったこと、死に物狂いで戦い、生き延びたこと。死に損ねたこと。そして帰った故郷には、何も残っていなかったこと。痛々しい。

水木がPTSDの発作を起こすという薄っぺらい前情報を仕入れていた為、恐らく戦闘シーンとか負傷時とかにそれがあるのだろうと予想していた。ゲゲ郎のバトルシーンとかリンチシーンとかはうってつけの発作シーンだろ!とか思ってた。

しかし水木はそういうタイミングで発作が起きるのではなく、自身が被害に遭った時に発作がある。水木さぁ…ポイントである。他人(ゲゲ郎)がバトろうがリンチされようが、どこか遠く、他人事のような顔をしている。戦場で死に損ない、あの時代の現代社会を生き抜く男の、水木なりの、心の守り方なのかも知れない。

 

後々調べて分かった事だが、水木のデザイン構築は水木しげる先生の戦争記を元に描かれている様で、「当時その渦中に居た者が感じたリアル」が根底に在る。そして謎の舞台は昭和31年。私が水木に対してあれこれ思っていた事の大半はお門違いで、非現実的で、戦争を知らない者がなんか言っているだけなのだった。昭和も知らない者による空想でしかない。恥ずかしい限り。

・ゲゲ郎のこと

もう語ることないよ。かっこよすぎる。皆多分同じ気持ち。私はアニメ版よりこっちのデザインが好きです。

ゲゲ郎ですらくりぃむそぉだを岩子さんと食しているのに、紗代は…と思い、またひとつ悲しくなる。紗代と岩子さんの百合見たいな(?)。

オタクの大好きなところ詰め合わせなんだよね。ゲゲ郎さんね。

ゲゲ郎が牢で食わされていた透け透け沢庵めっちゃ好き。あの薄さ、逆に手間だろ。

前述したが、何をされても基本的にスンとしているゲゲ郎がブチ切れるシーンが岩子さんに纏わるところなの、本当に良い。もっとブチ切れていいシーンが山ほどある中で最もキレたのが探していた嫁の夢を他の男に見られたこと…

そこをもっと…詳しく…だな…。どんな夢を見たのか残りの尺全部使って教えて欲しい。なんかスケッチの内容的に悪夢とかじゃないっぽいから…

あの親父ブチ切れだけ見に行きたいくらい良かった、ねー

あの時二人称が「お主」から「あんた」になっていた気がする キレとるキレとる

キレ散らかしたのは件のシーンだが、散らかしていないだけでキレてるところは結構随所にある。登場人物たちは軒並みスルーしているがもうあからさまにキレてる。怖い。裏鬼道にボコられて長女に嘲笑されているところとか、ベッドに拘束されているところとか、とにかく怖かった。その顔を水木の(略)時にもしていたので、ほんと、草…

ゲゲ郎、一貫して龍賀家には「妻を返して欲しい」としか言ってないんだよな…。作中では色々会話するけど、龍賀家自体には首を突っ込まないし余計な事も言わないでただ妻の事だけ言ってる。胸きゅんポイント

ラスボス戦でゲゲ郎さんのロン毛が見られてぽたくは大変満足です。

・人間って

醜いなぁ!!!!!!!!!!

私はいざと言う時わあわあ逃げ出す群衆が大好きなので、村の終焉に大変満足した。村の因果に実は余り関係の無い克典が、狂骨に直接手を下された訳ではなくシンプル事故死なのも趣深い。

pineapple on pizza みたいに、一人一人がどんな罪に加担しどんな業を背負いどんな結末を迎えるのか、じっくり眺めたい。2時間それに割いても良い。

醜い人間が大好きなので、終始ずっと興奮していた。

・脚本

なんかこの脚本癖あるなと思ったらマクロスFの人だった。それを踏まえて振り返ったら余りにもしっくり来て、それだけを噛み締めにもう一度観たい。

・最後に

本当によく作り込まれている作品だと思いました。

普段作画しない様な細かい描写のひとつひとつを丁寧に拾う。アニメ映画にしては…ではなく、実写だとしても唸る程の凝り様。上手い。何度上手いと思わされたか分からない。

この制作に関われた人達めちゃくちゃ気持ちいいだろうなぁ〜!

めちゃくちゃ気持ちいいだろうなと思いながら、めちゃくちゃ気持ちよく観させて頂きました。

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⬇️読まなくていい

(※)…私の数少ない友人(向こうから友人判定が出たので正真正銘の友人)が、本当に妖怪めいた方で、もう7~8年の付き合いになる。

ほぼ妖怪みたいな方が身近に居る為妖怪マインドに多少理解があり、だからこそ水木の妖怪への理解の無さに驚く事になる。

数年前  とある事情で9割妖怪のその人に嘘をついた事があり、その際結構本気の痛い目を見たので、どんな理由があれ妖怪相手に嘘をついてはならないと身をもって知っているのである。

水木は真っ当な人間であり今まで妖怪を感知していなかったので仕方ない。が、最初にゲゲ郎に窘められた時に何か察せられんのか…(まだ言う)

ちなみに、この妖怪の友人がお墨付きで紹介してくれたので、今回この映画を観るに至った訳です。ありがとうございます。